文は人なり

"The style is the man."――文は書くものじゃない、書こうとしたものが文になるのだ

この記事のURL [作品&商品レビュー] 映画『クライマーズ・ハイ』

 映画『クライマーズ・ハイ』試写会行きましたよ。

 若い人は知らないであろう、史上最大の飛行機事故、日航機123便墜落事故を追った、群馬の地方紙「北関東新聞(架空)」の記者たちのドラマを描いた横山秀夫の小説を映画化したもの・・・・です。NHKで一度ドラマ化されたんですね。全然知りませんでした。

 まずビックリしたのが、試写会会場のアナウンス時間が2時間23分という言葉でしたが(笑)、あまり長く感じない映画でしたね。観てて苦痛なこともなく、物語がエンタメの「お約束」をまったく踏襲しないので(汗)、退屈に感じることもなく、物語に引き込まれてしまいます。

 スティーヴン・オカザキ監督のドキュメンタリー、『ヒロシマナガサキ(原題:WHITE LIGHT/BLACK RAIN)』を観ましたよ。誰だよそれって言われてもあれだけど、アカデミー賞受賞監督といえばいいのかなぁ?

 そんな人がつくった「原爆映画」ですが、その内容は、実に、シンプルな作り。「被爆者」のインタビューを中心に、彼らの話に合わせての映像(日本では中々お目にかかれないアメリカものも)が淡々と流されるだけというもの。それでいて、内容が濃い。これは手腕がないとできないでしょうねぇ。なんというのか、「いいダシ出してるねぇ」という感じといえばよいのか。

 被爆者の体験談というのは総じて「聞きたくもないほど恐ろしい嫌なもの」という印象が現代人にはあると思いますが(『はだしのゲン』を読めないのと同じ感覚)、ここはスティーブン・オカザキという腕の良い料理人の手によって、信じられないほど、引き込まれるように見てしまう作品に仕上がっています。
 なので、なぜそうなのかについてちょっと考えてみた。

 昨日ですが、映画、『JUNO』先行試写会行ってまいりました。

 この映画は、おすぎが「今年最高の映画」と、まだ2008年も半年も経ってないのにお墨付きを与えた作品です。
 これ、16才の望まない妊娠という、さして珍しくもないテーマですが、ここがこの作品の特徴なのですが、最初中絶する気だった主人公、JUNO(ジュノ)が、中絶しきれずに「理想的な夫婦」に子供をあげよう、と行動をはじめるのがこのお話の本筋です。

 こういうお話なので、十代の妊娠という難しいテーマなのですけれど、基本的にはコメディタッチで明るい作品です。かといって、ふざけているわけでもないけれど、JUNOが大変個性的な(つまり変な)女なので、それが余計にライトな感覚を感じさせるのでしょう。かといって、ストーリーが軽いということじゃないんですが。

 余談ですが、この、里親に預ければいい、的な考えはちょっとショッキングな内容かもしれないですけど、意外とあるんですよ、里親制度って。昔から。昔から「とある事情で」子供を育てられない人はいるわけでして・・・。
 そういえば、あの「夜回り先生」としておなじみの水谷修も、たとえレイプされたとしても中絶するくらいなら施設に預けてください、育てますからと言っていましたね。それは夜回り先生が、中絶に反対する立場のクリスチャンだからといえばそれまでなんですが・・・・ってこう言う話をすると、起こるんですよね、論争が。それほど、「中絶に至る可能性のある妊娠」ってのは是非でもめます。アメリカの場合はそのスタンスが選挙に左右するくらい重要です。
 んだけれども、この作品は、そういったことをうまくかわしてるというか、うまく、「超えている」。これは後述しますが。

 作品全体に流れるのはPOPな雰囲気(と音楽)。かといって「軽い」わけじゃなく、若者の妊娠らしく、妊娠・出産・結婚というものと「若者の価値観で」向き合っていくお話になっている。こういうと、ありがちなお話に思えるかもしれないけれど、最初に述べた「理想的な夫婦に預ける」という、一つのファクターが、主人公JUNOに及ぼす影響はかなり甚大で、この間で繰り広げられるドラマは「どうなるの?」とハラハラさせる作りながらも、かなり質の高いドラマに仕上がっている。
 もちろん、「子供がかわいいからあげるの止めたわ」とかいう、安易なストーリーじゃなくて、「そういうことが前にもあった」その、受け入れ先の夫婦とJUNOが、それぞれ何を考え、どう行動していくのかという「妊娠」に関わる人たちのヒューマンドラマとしても必見です。

 特に、テーマが「妊娠」に見えがちな作品ですが、根底にあるのはそれよりもむしろ、「LOVE」。そのため、JUNOとはらませた男以外との「LOVE」のシーンも見物です。というか、たぶんこれがメインテーマです。

 個人的に見た感想としては、よくできたストーリーだ。脚本は女だろう、それも若い世代(40以下)だろうと思った。というのも、安易に「中絶の是非」という、ありがちな水掛け論的な意見に走らずに、それを超えた、というか若者の性・中絶・公開里親など時代に即した一つのあるべきビジョン、みたいなものを描いている(劇中の言葉を使えば「cook」してる)から。

 ただ若い世代が、社会の周りを取り囲んでる様々なモノを安易に文句を言うのではなく、それよりも大事にすべきことは何か? ということを忘れずに描いているのはエライと思う。簡単に言うと、説教臭くない、ということだ。これはかなり重要なことで、作品全体を通じて流れるPOPな雰囲気の中でそれを表現している監督の手腕もなかなかのものだと思う。

 まぁ、そんなとこ見てる人はあまりいないだろうけど・・・・調べてみると、やっぱり若い脚本&監督でしたね。まぁ、そうじゃなきゃ妊娠をああは描けないよねぇ。詳しくはネタバレになるから言えないけれど。

 女性が書いた妊娠モノの脚本らしく、妊娠した女に対しての(子持ちでない)男のぶざまさは『三年身籠る』と同様、「やっぱり」なのですが、男が書くとどうなるのかなぁ?とか思ったり。もうちょっと格好良く書くんかなぁ・・・それじゃ、女が納得しないけれどね。そもそも書かない気がするけれど。

 

 「妊娠」にまつわるものはどうしてもその人の「価値観」に基づいた議論しかなされずに、対象者の心の問題とかはまったく度外視されることが多いのですけれど、物事はすべてケース・バイ・ケースであって、妊娠もしかりだ。・・・そんなことを思い出させてくれる作品。
 そういうこと考えずに、笑えるところも多い作品です。特に、「作戦開始!」って叫ぶシーンは会場が大爆笑でしたよ。お父さんの真面目な話をするシーンも女性にはいいかな。

 6/14から全国で公開ですよん。

(以下ネタバレあり) 

この記事のURL [作品&商品レビュー] VHS『岡本太郎の宇宙』観てみました

 『岡本太郎の宇宙』という、川崎市教育委員会の(予算でつくられた)ビデオを観ましたよ。

 以前書いた記事のコメントで「岡本太郎を見ろ」と言われたので、VHSテープですが図書館にあったので借りてきました。どうも、川崎市の岡本太郎博物館(あるのか?)で上映されているビデオっぽいんだけど、これがかなり上質な出来。造ったのが教育委員会じゃないからか?(←爆弾発言)

 岡本太郎、芸術はコミュニケーションの側面もあるということで、「お前の作品のハッキリ言ってどこがコミュニケーションだよ」と言う人もいるでしょうけど、コミュニケーションとは単なる仲良しこよしでさようならという生ぬるいものを指すのではなく、人としての意志などを正確に伝達する、本当の意味でのコミュニケーション(他人と共有する)を追求した結果なんでしょうね。
 少なくとも、「岡本太郎はこう思った。お前はどうだ?」という手加減抜きのコミュニケーション・・・・・受け手がそれを理解できないのでディスコミュニケーションみたいになったりもしますが、それをわかろうとする人もいることを考えれば、それはコミュニケーションとして成立しているとも言える・・・・・「芸術は爆発だ」のイメージがある岡本太郎ですけど、勝手気ままに生きているのではなく、CMに出るのも自分の言葉しか喋らないという条件をつけたりと※、かなり受け手(大衆)を意識した行動をしている。
※…この、岡本太郎の宇宙には、そのCMがそのまま収録されてる。あのセリフはマクセルのビデオテープのCMだったんだなぁ。

 大衆を意識した、自分そのものを通じたコミュニケーションをしようとしていたのは晩年の方だけど、それでも根底にあるのは単なる「独りよがり」じゃなく、絶対的な他者が存在するがゆえにできる、「既存の価値を問い直す」というアヴァンギャルドな立場で、自分が感じたことを形にしようとしていた――それが『日本再発見 芸術風土記(絶版)』などの、元々の日本の文化そのもの再評価する仕事に繋がっていくのでしょう。

至るところにあふれている秋田の風俗は、一般に紹介されている、あんな泥くさいものでは決してない。すきとおって、ほゝ笑ましい。美しいし、そのセンスはかなり高いものだ。(『日本再発見―芸術風土記 秋田』 なぜかHPで公開中

 そういうわけで、遊べる本屋『ヴィレッジヴァンガード』でたくさん用意されている岡本太郎本(だいたい自己啓発系の)本を読んだ専門学校に通う若者達が、そんなこと気づかずに、「俺はこう思うんだ。バカなお前らはわからんだろうけど」という作品をつくって、芸術家気取りで自己満足の域に行ってるとしたら、ちっとも岡本太郎から何も学んでないんじゃないかな?――と勝手に思ったりするけれど、実際の所、どうなんだろうねぇ。

 芸術って、やっぱ人生と繋がってないと、薄っぺらくなるってわかって・・・・いたら凄いけどね。その葛藤をするのが青春時代なんだろうけど、そういうのはしないで、安易に他人の言葉で自分を表現するなら芸術家として終わりだろうと私は思う。

 話が飛んだけど、やっぱり、芸術って独りよがりのものじゃないよね。前衛芸術(アバンギャルド)な立場を取った岡本太郎でも、やっぱり誰か対象――たとえば旧態依然とした芸術界とか、矛盾だらけの軍国主義に傾倒した人々とか、経済絶対主義を疑わない人々とか――があってやるものだから。
 その対象に伝わるかどうかっていう意味で、コミュニケーションなんじゃないかな、とも思う。媚びないコミュニケーション。これが岡本太郎の本質なんじゃないかなぁ?

人間が動物を食い、動物が人間を食った時代。あの暗い、太古の血の交歓。食うことも食われることも、生きる祭儀だった。残酷で、燃えるような、宇宙的な情熱が迫ってくる。そういうものをふるい起さないで、ヒューマニズムもちゃんちゃらおかしい。(『日本再発見―芸術風土記 岩手』なぜか(略

 まぁ、パンピーからしたらヤバイ人かもしれないけれど、自分の目で見て、自分の中で消化して、自分の外に出そうとするってのが、なれ合いという意味ではなく、分かり合おうとするという意味での、コミュニケーションの本質なんじゃないのかと問いただしているようで、なかなか痛快なビデオだった。

 やっぱり、岡本太郎って、簡単に真似できないよっていう意味でも。

 今年から始まったらしい(初耳)「マンガ大賞」というのがあるのだが、「マンガの『本屋大賞』『直木賞』を目指す目的の賞らしい。それにビッグコミックオリジナルで連載中の『岳 みんなの山』が大賞に選ばれたらしい。

 ・・・・・・・ええ?

 私、個人的にあまり評価してないんですよねぇ、あのマンガは。
 ビッグコミックオリジナルが休憩室にあれば、一応読みますけど、つまらないということはないですけど、面白いといえば面白いですけど・・・・・そうかぁ、これが大賞かぁ。という感想を受けた。
 と言っても単行本のものは見たことないので、この一年雑誌で見た分しか知らないのですけどね(それを十二分に考慮に入れてお読み下さい)

 私個人の意見ですが、思うんですよ。
 このマンガ、最近のマンガにありがちな、典型的な「偏差値58」マンガなんじゃないかな、と。面白いは面白い。そして、知らなかったことも教えてくれる。けど、心を震わされるほどではない。なんか、心より頭で読むような作品に思えるんですよね。想像力を駆使すればわかるようなこともわざわざマンガで描いて欲しいという要求が最近の読者の傾向だと思いますが、それが個人的には、どうかねぇと思うもので。

この記事のURL [作品&商品レビュー] アニメ『リーンの翼』

 『リーンの翼』観ましたよ。ちょっと前の話ですが。

 知らない人が大半だと思いますが、富野由悠季監督のライフワーク「バイストンウェル物語」の同名小説のアニメ版(ストーリーは違うらしい)。この、バイストンウェルっていうのが、地球の表面と地底の間にある、魂が行き交う場所という設定なのですが、そういう設定とか知ってないと、これがもう、全然わからん! っていう恐れのある作品です(DVD買えば解説書がついてくるらしい)。とにかく、観てる人にこれほどこびなくていいのかと聞きたくなる作品は、生ぬるい作品の多い昨今、かなり違和感がある。

 もうね、一言で言うと、「富野全開」。
 思わず、「千字のレポート(感想文じゃない)を20分で書け」と言った京大の教授を思い出すぐらい、容赦ない。学生には評判悪いけどレベルの高い授業、みたいな。

 原作者の描くアニメよりマンガの方がよくわかると言われるぐらい(笑)、ハイスピードで、詰め込みすぎで、わかりにくく、難解。まぁ、そういうのが富野作品の特徴ですが、もう、これは彼の要素をこれでもかと体現した作品になっている(脚本に全て参加してるし)。でも、(ここが重要なのだが)なぜか面白い。特に、主人公を食ってしまうほどアクの強いキャラクター(カテジナさんとかキッズムントとか)を描かせたら天下一品ですね(いいことかどうかは知りませんが)。本作も、主人公であるエイサップ・鈴木青年を、「昔の英雄」迫水真二郎が圧倒しています。

 それが悪い方向にも出てしまいますが・・・・まぁ、「弾頭特攻機『桜花※』に乗った元特攻隊員」「別世界に飛ばされてそこで英雄になった」「自分の王国をつくる」「元の日本に戻ろうと技術開発をする」・・・・ってな感じで、在日米軍基地司令官の隠し子でハーフの大学生エイサップがキャラクターとして敵うはずもないんですが。
桜花・・・機銃がついてないどころか地力で飛べない、ロケット弾頭に羽根とコクピットをつけた形の世界唯一の特攻機(そりゃそうだろ)。燃料も数秒分しかないので、輸送機から「滑空」することで体当たりをかます。成功例はない。⇒動画

 でも、私としては、アニメが広く一般に認知される上において、「若造を無理に英雄にしなくてもいいのではないのか」とも思うので、これはこれでいいんじゃないのかな、と思います。そろそろ日本アニメも、ウィル・スミスを主人公にするようなアニメを作って、しかも「売れる」ようになって欲しいものです。だから、この点は別に気にしなかったですね。むしろ、こうしていく方がいい、と思った。

 最近、異動間近ということで、通勤路にある100円レンタルDVD屋とおさらばすることになるからと慌ててDVDを見まくっていますが、そのせいか知らないけど、なんか、忙しい! 明らかに時間がないし、目が疲れている(←そのせいだろ)。

 ・・・・・で、異動はどこになるのって話だけど、これがまた、家から2.5kmとこれまた近い都心で、場所柄越境入学者が多いところなんだよね。まぁ、そんなどうでもいいことはいいんだけど、そう考えると、その、100円DVDから物凄く遠くなるわけでもないし(方向は違うけど約3km)、そんなに慌てて観る必要ねーな、とか思ったり。バイク乗れば10分とかからないわけだし。

 思いこんだら一直線もほどほどにしておかなきゃダメですな。

 

 さて、そんなDVDの中で今日は何を観たかって? 暗闇で出会ったオオカミとヤギの物語、『あらしのよるに』

 ・・・・「ヒットする絵本を書くなら動物を書け」と自著でとても現実的(すぎるぐらい)なことを書いているミリオンセラー童話作家・木村裕一(キム兄ではない)の同名絵本シリーズが原作です。

 杉井ギサブロー(タッチで有名)が監督をすると言う雑誌広告があったので、この際ビデオ屋で目にも止まったことだし観てみるかと思って観たのですが・・・・・・・さすがに絵本が原作というだけあって、あれですよ、小学校低学年ぐらいまでが観るものでしたよ、やっぱり。

(以下ネタバレ)

 『それでもボクはやってない』観ましたよ。ええ、DVDで。

 なんで今日テレビで(フジね)やってんのにDVDなのって言われたらさぁ、「知らなかったんだよ!」って言うしかないよね。借りてから知ったの。

 さて、そんな「知らなかったんだよ!」じゃ済まされない、痴漢冤罪事件を取り扱った本作ですが、なんでしょうね、これは、絶対、人気監督じゃなかったら話題に取り上げられもしなかったでしょうね。それぐらい、なんか、観てて、悲しい。商業ベースに乗らんだろと誰しもが思う。けど、こうも思う。よくぞやってくれた、人気監督というか。冤罪に遭った人たちの、不条理な状況に追い込まれていく様をよく形にしたものだと思います。

 日本の裁判制度は検察の証拠がほとんど採用される「有罪率99.9%」というのは、一部でよく言われていることですが、あまり知られていないのは、裁判なんて「悪人」とか「悪いことをした人」にしか関係ないんでしょ? という想いがあるからでしょう。それは自然ですが、恐いことではあります。まぁ、一番の理由は、この文章のように「めんどくさい」からでしょうか、関わるのが。
 それが自分の首を絞めることがある、という「事実」をこの映画は教えてくれます。最近ぬるい、観客を満足させることを主眼におきすぎて真実から目を背けさせる作家が多いですけど、さすがに違いましたね。自分の世界を創れる人は。

 冒頭の「十人の真犯人を逃すとも 一人の無辜を罰するなかれ」というメッセージが出ます。これは、裁判の基本原則らしいのですが、「疑わしきは罰せず」なんてのは、事実上無理に近い現実なのだというのを、まざまざと見せつけながら問題提起するのが、この作品です。「殺人冤罪」じゃなく「痴漢冤罪」なのが、観る人の頭をガーンと殴りつける意味があります。殺人冤罪については『獄中詩集 壁のうた』という詩集などがあるので、読んでみるのをオススメします。いくら自分が「無罪だ」と知っていても・・・・。

 

 およそ一年ぐらい前、裁判制度の問題を取り扱ったテレビ番組がありました。
 フジテレビ系のローカル局東海テレビ制作の日本で初めて裁判所の中の撮影をした『裁判長のお弁当』という、実に珍しい、裁判官密着ドキュメント番組でした。その中で、休みもなく事件に忙殺される裁判官と、その流れに流されるしかない現実の裁判制度(有罪率99.9%の理由)を、実にわかりやすく、そして、はっきりと、視聴者に投げ掛けていました。なにより、裁判官がそれを認めているのに、目の前の事件に向うしかない現実、という点では「それでもボクはやってない」以上の所もありました。

 いい番組だったのに未だにDVDにもならないし再放送もないので、PCに録画してあるものをYouTubeとかニコニコ動画等にアップロードしようかなと考え中です。個人的にDVDに保存するだけのために残しておいたのですが、ローカルの悲しさか、商売の悲しさか・・・・と考える間にやれよって話ですね、はい。
 ちなみに、この番組のナレーションを担当しているのは、故伊丹十三監督の妻で「マルタイの女」などの主役を演じた宮本信子です。制作者はそうとう気合い入れて作ったんだと思います。もう一度観てみます。そっから決めます。

この記事のURL [作品&商品レビュー] あげまん

 伊丹十三監督『あげまん』観ました。

 伊丹監督作品は・・・・あれですね、ラーメンウエスタンこと『タンポポ』以来ですね、観るの。しかもあのタンポポは、NYで、9.11のあった次の日にNY在住の人に勧められて観た「英語字幕」のビデオでした。懐かしい

 さて、そんな個人的感傷はさておき、「あげまん」ですよ、奥さん。

 間違っても揚げた饅頭じゃないですよ?
 最近流行ってますけど(ズガーン←即死)。

 

 ・・・・・(生還)・・・・はい、しかし、時代を感じさせますね、ファッションとか・・・・キャラクターの年齢とか。最初、主演男優が津川雅彦だって気づかなかった私。最近めっきり白髪姿の爺さん役の多い彼ですが、これも早・・・・18年も前ですか。凄いですね。

 その間、めっきり「あげまん」という言葉の認知が進んだようですが、どうも、「あげまん」の「まん」は運気を表す「間(まん)」から来てるんだそうで、勉強になります、伊丹監督。

 映画の内容ですが、タイトル通り、「あげまん」の女性が活躍するのですが、単なる「あげまん」な女と言うだけでなく、それがゆえに男の権力欲に振り回されちゃったりして、それがリアルかつコミカル。

 今どき「あげまん」をめざす女性もいないかと思いきや、(専業主婦というポジションを守るべく)むしろ逆にめざす人もいたりなんかりして、女性の社会進出が進んだのにもかかわらずそういうことに喜びを感じようとする女性がいるのも面白い現象ですが(でも仕事でも・・・という人も多いけど)、そういう女性とこの映画に描かれている「あげまん」、本来の「あげまん」とはちょっと違いますね。
 何が違うって、結局、自分が幸せになるために「あげまん」してるのではなく、自分のしていることが結果として自分を「あげまん」たらしめているというのでしょうか? 人間としての芯の強さと、女性特有の人間愛が、必然的に男を「いい方向」へ導く・・・・というようなことが描かれているように思いますが、そんなことを考えずに、ただ観る分にも十分楽しい。

 特に、津川演じる鈴木主水(もんど、笑、八木節の鈴木主水?)の、アップダウンが笑える。宮本信子演じるあげまん(七四子、なよこ)によって調子づいた主水は、再び女遊び始めたり、離婚した金持ちの娘(性格最悪)と復縁したり・・・・・とか、男って単純!って感じだけど、それを許してしまうけど、支配はされないという七四子の姿は、まさにあげまんっぽくていいですね。

 (印象に残ったセリフ)

 (主水は)セカンドマンのタイプです
 サードマンはトップを倒して自分がトップになりたがりますが
 セカンドマンは上に強い人がいれば安定するし、力も出るんです
 (社長の私は?に)社長はサードマンですわ(七四子)
   ・・・・・伏線でした。

 迷ってるってことは やめた方がいいってことですよ(主水)
   ・・・・・口説き文句です。みなさん見習いましょう

 私、幸せになれてないの しっかり抱いて(七四子)
   ・・・・・狙って言う女性はあげまんじゃありません

 ウワサっていうのはその人に似合うから流れるのよ(七四子)
   ・・・・・あげまんは男をけなしたりしません

 父親は娘の寝室が恐いのよ(暎子、資産家の娘で主水の妻)

(以下ネタバレに近いので反転)

 楽しかったわ
 あなたが私を大事にしてくれたらもっともっと楽しくなれたのにね(七四子)

 遅かったわ だって私 もう 治っちゃったんだもん(七四子)

 (そんなに政治が面白いの?という七四子に)
 人間にとって、人間を自由にするくらい面白いことはないのさ(多聞院)

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この記事のURL [作品&商品レビュー] ヒトラーの生涯

 うっ、さすがに歳のせいか旅行行く前に疲れのたまっていた肩腰の疲労がピークを越えて、つった。やっぱり旅行前はマッサージ受けておくべきだった。なんてこった。

 まぁ、今日一日はのんびりしようと思っていたからいいのだけれど、この調子だと、あと二日ぐらいはのんびりしないと治りそうもない!

 ・・・・・・別にいーんじゃねーの? というツッコミも方々から聞こえてきそうだが、基本的に私はじっとしていられないので、なにかに取り憑かれたように何かしたがるんだよね。ゆとりがないというか。
 その割にはちっともやってないことばっかだろ、日記なんて。旅日記はどうした、原付二種取得記録はどうしたというツッコミもあるかもしれないけど、それとこれとは話が別(えー)。

 

 そんな中で、DVD観ましたよ。
 「ヒトラーの生涯」(The Life of Adolf Hitler)なんていう、マニアックな(?)ドキュメンタリー映画(1961年公開らしい)。監督ポール・ローサ。

 なんでしょうね?
 タイトルに偽りあるかもしれない。ヒトラーの「生涯」というより、ドイツにおけるヒトラーとナチスの歴史、みたいな感じで、ヒトラーの昔話や人間性とかはおまけみたいにしか語られません。でも、ナチスがなぜ台頭したのかという流れをうまく説明していると言う点では評価できますね。非常にわかりやすい造りです。
 歴史に自信がないけど、ヒトラーとナチスについてわかりやすく勉強するにはいい教材じゃないでしょうかね。「ヒトラーほど映像に映っている人間はいないでしょう」そうだなぁって内容。利用したからこそ記録に残っているって点も含めて。

 ただ難をつけるなら、音声が英語の上にかぶせた日本語ナレーションだけというのはちょっと・・・・聞き取りづらい所が多々あります。有名な「アウシュビッツ」は日本語読みなのに、「ダッハウ」が「タッハウ」って読まれたり、わかってないで読んでるのかな?とか思うのは専門家の監修がないからですかね。

 特徴的なのは、イギリス製であるにもかかわらず、連合国寄りではなく、限りなくニュートラルに近い視点で描かれていると言うこと(この時援助してれば戦争は避けられたかもしれません、とか)。それともう一つ、ナチスに抵抗した人たちもいたという、ドイツでさえ(日本と同じように)取り上げない話題をきっちりと名前付で上げているところでしょうか。

(印象に残ったセリフというか言葉)
 この国は真の共産主義者のいない共和国であり
 民主主義者のいない民主主義国だったのです

 戦争という顔は平和という仮面をかぶっていました

 (好景気に転じたドイツの経済や生活は)
 どれも戦争がなしには続かなかったからなのです

 プロパガンダ用に戦争を始める理由をつくる
 その理由が真実かどうかなど問題ではない
 戦争が終わったとき勝利者であれば
 真実を語ったかどうかは誰も問題にしないからだ
 戦争の開始や侵攻に問題なのは理由ではなく勝利することだ(ヒトラー)

 我々は野蛮人である 野蛮人であろうと思っている
 これは名誉ある称号である(ヒトラー)

 (ナチスに抵抗して殺された人たちの顔を写しながら)
 これがもう一つのドイツです
 彼らの戦いは語りつがねばなりません
 彼らは少数派ですがその殉死は今も輝いています

 (ドイツが次々に負けて)
 隠された事実が明らかになります それはたくさんありました
 これは第三帝国に対して支払われた代償なのです
 人々は金銭ではなく想像を絶する苦しみで支払ったのです

 しかし戦争はまだ終わってませんでした
 ヒトラーの元には捧げるメダルが残っていました

 1000年続く(とヒトラーが言っていた)帝国は12年しか続きませんでした

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